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7号機(ソプラノウクレレ3号)  2007/6/17

 制作中のウクレレの途中経過を少しずつアップして行きます。
まずは主な材料ですが、一番重要なトップと裏板・サイドは数年前使って残っているケヤキの薄板(5mmt)です。
今回で表の取れる板がなくなりました。
また、 機会があればケヤキか桜などの堅い木の薄板を仕入れておきたいと思います。

製材所の帯ノコの性能上、これ以上の薄さはむつかしいようですが、 この5mm厚の堅い板を1mm近くまで削るのが大変な作業となります。
ヘッドとネック材はホームセンターで仕入れた柔らかい集合材で輸入材だろうと思います。
ヘッドは14mm厚のものを11mmくらいまで削り、形を切り抜いています。

ネック 2007/6/24
 材料のネック用木材とヘッド用板を接着しました。
木工ボンドで接着するのですが、 ボンドを着ける前ならクランプで挟んでもしっかり挟めますが、 ボンドを着けてしまうとクランプを締めると接着面が斜めなのでずれてしまいます。
ボンドを着ける前にクランプで締めて小さな穴を開け竹ヒゴを通しておきます。
こうしておけばボンドを着けた後竹ヒゴを通せばクランプでしっかりと挟むことができます。
接着剤が乾いた後フレットボードを接着する面をペーパーで仕上げて平らにしておきます。

 この後写真は撮っていませんが、 表板と裏板・横板などを5mmの厚さから1.5mmくらいまで両面を削り落としました。
折れた10mm程度のドリルビットをフライス盤のビットの先と同じように研磨し、 それをボール盤につけ板を加工しました。その後ペーパーで表面をしあげます。

治具 2007/7/4
 これはウクレレを制作するための治具(じぐと読む)です。
ウクレレに限らず物を作るときには、治具の制作が重要な場合が多いです。

ウクレレやギターを作るときにも治具は重要でこの出来不出来が仕上がりに大きく影響します。
材料は学生机の天板で、厚さ20mmくらいの合板です。v 本当はもう2倍の厚さがほしい所ですがこれでなんとかします。

使い方はだいたい想像できるでしょうが、沢山ある切れ込みの理由がたぶんよくわからないだろうと思います。
今度使用中の写真をアップしますのでたのしみにしておいて下さい


ベンデイングアイロン 2007/7/18
 写真の物はともかく「ベンディングアイロン」って知っています?。
ギターやウクレレの横板を曲げる工具です。

既製品を買えば3万円くらいしますがそこまで本気でやってないのでいままで工夫して曲げていました。
このアイロンは3台目で、1台目はミカンの缶詰に100Wの電球をつっこみそれで曲げていましたが、温度が低くいまいちでした。
2台目は60Φくらいのアルミパイプにプロジェクターかなんかに使う130Wの小さな電球をつっこんで使いましたが、 これが千円以上もするのにすぐに球切れしてしまい、温度もまだまだたりずいろいろ考えていました。

家に穴がつまって蒸気の出なくなった蒸気アイロンがあったので、このアイロンのヒーターを使おうとバラしたのですが、 最後のヒーターがどうしても取り出せません。

アイロンの底と一体になっているようで、どうやってアルミの鋳物の中にヒーターを埋め込んでいるのでしょう。
昔のアイロンはバラしてヒーターの断線など修理していたのですが。また、ヒーターとアルミとの絶縁はどうなっているのでしょう。

どっちにしてもしょうがないのでこのまま使うことにして、 一体何アンペアの電流が流れるのだろと 大きい電流計を入れておそるおそるスイッチを入れてみると16アンペアも流れているではないですか。
1.6キロワットです。

とてもこのまま使うわけにはいかないので写真にあるように、 トライアックを使って電流制限回路を作りました。これでやれば5アンペアくらいで十分使える温度になりました。
ちょっと上げすぎると木がこげてしまうくらいです。形がいまいちですが良く曲がります。

側板曲げ 2007/7/21
 先日アップしたベンディングアイロンで曲げ加工した横板を治具に固定し上下のブロックを接着しているところです。
クランプは百円ショップの物で青いのが2こ百円。ピンクのちょっと大きめのが1こ百円です。

突っ張りに使っているジャッキはみればわかるように自家製で四角い木のブロックは机の天板にコルク板を貼った物。
パイプは百円ショップ、5ミリのボルトと蝶ナットはホームセンターで購入しました。

パイプカッターも百円ショップで買ったものですがたしか300円くらいし、 なぜ?とレジで思った記憶があります。それでも安いからまあいいかと買いました。

ライニング 2007/7/22
 ライニング材の接着です。ウクレレ制作のホームページには必ず載っている写真です。
普通のキットを購入するとこれが最初の作業となるからでしょう。

ライニング材はいわばのりしろのようなもので、薄い板同士を直角に接着するときの接着面積を増やす役目をしています
。 厚さ4〜5ミリ、幅10ミリ程度の板を横板と同じカーブにアイロンで曲げボンドで接着します。

隙間が開きそうな所はクランプで締めて接着します。
トップ板側は直線なので問題はありませんが、バック板側は曲線になるので、横板の型紙で板を切り出します。
のりが乾いたあと横板よりはみ出した部分を削って落とし、横板と同じ高さにそろえておきます。

力木 2007/7/28
 ちからぎと読みます。ギターやウクレレには必ず使ってある裏技で、トップ板やバック板を補強する目的で使います。
ごくまれにサイドにも割れ防止がしてある楽器もあります。私の場合サウンドホールにも補強がしてあります。

これはあまり例がないようですが、ここが弱そうなのでやっていますが音への影響はあるかもしれません。
普通ギターやウクレレのトップはスプルースという針葉樹の柾目を使うので縦の強度はかなりありますが、 横の強度は弱いので力木はかかせません。

このウクレレはトップがけやきの板目なので強度は結構ありますが、 なにせ厚さが1mmちょっとしかないので念のため入れてあります。
合板トップのウクレレでは省略してある場合もあります。

トップ板 2007/7/29
 トップの貼り付けです。治具の切れ目の理由がわかったでしょうか。
手製クランプを治具に着けたまま使える工夫だったのです。
他のHPの治具を見習って作ったものです。

クランプは市販の物は円形ですが、特に円形の必要はなく机の天板にコルク板を貼り付けブロックに切り分けたものです。
このとき治具の厚さが薄いので治具に対する直角が出ているかどうか良く確認してトップ板を接着しないと トップとバックの大きさや形が変わってしまいます。

過去この過ちをしてしまいました。ぱっと見ではわかりませんが、 さわってみるとわかります。だんだんと形が出来てきてわくわくします。

バック 2007/8/1
 トップの次はバックです。バックを貼る前に中にラベルを貼るか制作年月などを書いておきます。
バックを貼ったあとでは中に字を書いたりラベルを貼ったりが難しくなります。
もちろん、バックの力木は先に接着しておきます。

バックを貼る前にネックをを着ける。ブリッジを貼るなどをしても良いでしょう。
これらの作業はバックがない方がやりやすいからです。ただ、ネックを貼った後では治具は使えません。
なんの作業でもそうですが、順番をよく考えて作業しないととんでもない苦労をすることがあります。

このあと表裏の板が接着し終わったら、それぞれはみだした部分を切り落とします。
人によりカッターを使ったりノミを使ったりするようですが、私は1mmくらい残しベビーサンダーで削り落とします。
そして木工ヤスリで段差がないように削ってしあげます。

ネック 2007/8/4
 ネックを接着します。普通はサイドからはみ出したトップとバック板の耳を切り落とすのを先にするのですが、 今回ネックの近くのみ切り落としてネックを着けてみました。

この作業がもっとも神経を使います。まずセンターラインがずれないこと、曲がらないこと。
トップ板の面とネックの面が一致すること。

さらに接着面に隙間が開かないこと、など多くの条件を一度に満足しなければいけません。 さらに、ボディ側は普通平面ではありませんので、 すべての条件がそろうように接着面をすりあわせて何度も確認しては削って行きます。

人によってやり方は違うでしょうが、私の場合ボディ側にチョークを塗っておき、 すりあわせてチョークの粉が付いた所を削って行き最終的に全体にチョークが付くまでこの作業をくりかえします。

サイド板のウエスト部分に黒い線が見えますが、これはサイド板を曲げるとき、アイロンの温度が高すぎて焦げたものです。
最初ちょっと削ればきれいになるだろうとたかをくくっていたのですが、木材の導管部分に入り込み完全には消えませんでした。

フレット 2007/8/11
 フレットボード(指板)の接着。指板は少し硬めの木材を使います。 数年前エレキギターを作るとき指板用に製材してもらっていた桜の板を使いました。堅くて磨いたときよくツヤがでます。
ギターではローズウッドという紫檀系の木材やメイプルという楓の仲間を使いますが、両方とも堅い木材です。

フレットワイヤーには竹ひごを使っています。
金属のワイヤーも持っていますが、今回は加工のしやすい竹ひごにしました。スチールの弦を張ると持たないでしょうが、 ウクレレのナイロン弦であればよほど頻繁に演奏しない限り大丈夫です。

フレットの間隔ですが、計算方法がいろんなサイトにのっていますが、私は私流の計算式を使っています。
式は A=L*(1-1/2^(x/12)) です。

私の場合ほとんどの弦楽器で加工しやすさと弦高の関係で0フレットを使っていますが、0フレットからの距離を計算します。
Aは0フレットからの距離・Lは0フレットからブリッジまでの距離・xがフレット番号になります。

これをポケコンのbasicで14フレットぐらいまでプログラムして計算します。関数電卓でもこの通りに打てば計算できます。
この後、歯の薄いノコで溝を刻みヤスリで三角に掘り直し竹ヒゴを接着し、 乾いたらヤスリで指板全体のフレットの高さがそろうように削ってそろえます。

ブリッジ 2007/8/12
 ナットはすでに付いていますが、ブリッジの接着です。 前回書いたようにゼロフレットがあるのでナットは単に弦が横ずれするのを防ぐのみの役割で、 弦高の調整などは全く気にしなくて済みます。

ブリッジはゼロフレットからの距離が前回の式のLの値ですが、 弦を押さえたとき少し高めになるのを考慮して3mm程度長めに取ります。

音が高くなる程度が弦の太さにより違うのでエレキギターなどは弦1本1本で微調整出来るように作ってありますが ウクレレやアコースティックギターではブリッジが直線なのが普通です。
私の場合はその辺を考慮し弦により長さが変えてあります。
どのくらい効果があるかは定かではありません。
たぶん気休めです。

普通12フレットがボディのラインになるのですが、 ゼロフレットのスペースを考慮していなかったため少しずれてしまいました。
もうひとつ、10フレットのポジションマークが9フレットに付いてしまいました よく思い出さないので適当に着けていたのですが完成してクレージーGを弾いた時に位置が違うのに気が付きました。

材料はブリッジは桜・ナットは名前のよくわからない堅い南洋材・ポジションマークはプラモデルの部品を取った後の骨です。

ペグ 2007/8/13
 ペグ(糸巻)の加工です。ペグとはワイン樽などの木栓の意味らしいですが、ギヤ式のペグと違い一目で語源がわかります。
ペグもナットと同じ南洋材の堅い木材を使用します。

写真左よりまずノコで材料を切り出します(上2個)。次にグラインダでおおざっぱに形を整えます(下2個)。
次に中の写真ですが、旋盤にセットしテーパー加工及び握り部分の加工をします。
旋盤がなければ地道にヤスリで削ります。私も今まではそうして作っていました。

この旋盤だと0.1mmの精度で加工できます。テーパーは片方で1.8度全体では3.6度でした。
この機械を使えば全く同じものが4つ作れます。ただし、平たい部分は手で加工したので微妙に違います。

少し長かったので適当に切りそろえたら微妙に長さが不揃いになりました。
おまけに先を短くしたので太めのペグになってしまいました。まあ性能にたいして影響はないと思います。

塗装 2007/8/14
 塗装といっても略式です。写真一番左が塗装前、次の2つが塗装後です。
木材は材料にもよりますが柔らかい木材ほどよく塗料を吸い込みます。

ただし、ボンドなど接着剤がついた部分はほとんど吸い込みません。
したがってそこには色むらができてしまいます。また導管部のへこんだ部分は塗装では埋まりません。

したがって、順序としては、
1・木工パテや、とのこでへこんだ部分を埋めペーパーでならしておく。全体にペーパーをかけて凹凸がなくなると、
2・目止め材・下塗りで全体に塗料が染み込まないようにする(2〜3回)。
3・カラーラッカーやクリヤで塗装をする。これは1回ごとにペーパーでならす。
4・目の細かい3千番くらいのペーパーでしあげる。

という順番ですが、きれいに塗装するのはとても難しい技術が必要です。
そこで私は下塗りの2〜3回のスプレーのみでやめます。

ケヤキなどの堅い木はそれだけで結構ツヤが出ますし、木本来の手ざわりも残ります。
まったく塗装をしないとさわっている内に汚れがついてしまいます。

プロは下塗りの前に木材自体を染めてしまい、それから下塗り・クリヤラッカー・ペーパー仕上げとするようです。

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